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第45回 「できたこと」を疑う思考術

先日ある企業の管理職研修を行いました。


この企業では半年前に、

この管理職40人に管理職研修が行われていました。


内容は「安全、品質、部下育成、組織マネジメント」についての

意識改革を推し進めるものでした。


今回私が受けもった研修は、

PDCFAメソッドの知識とスキルを習得することが目的でしたが、

この半年前の研修で決めたアクションプランについての

実践状況を確認することから始めました。


私からの質問は3つです。


Q1:半年前の研修で計画された取り組みは何ですか?

Q2:実際に継続的に実践した行動は何ですか?

Q3:計画通り「できたこと」「できたかったこと」をあげて、

  その理由(原因)を考察し、どうすべきだったかを記述して下さい。


A4のワークシートを配り、書いてもらいました。

そこで気づいたことは


 ・圧倒的に「できなかった」ことへの考察が多い。


ということです。


意識が高い管理職の皆さんですから、

自分を律して反省している姿は素晴らしいとは思います。


ところが、「できたこと」への考察が少ないということは


・深い思考をしていない


ことと同じことに気づく必要があります。


要は、


・本当に「できた」と言えるのか?


という問いです。


行動計画が「できた」から◯、

「できなかった」から×ではないのです。

そこからどれだけ深く考え抜くことができるのか、ということです。


”ルーティンをこなす、仕事をさばく”、という考えでは

「できたこと」を疑いようがありません。


しかし、「ありたい姿」に向かって、

”仕事の質を高める”という考えになれば、

「できたこと」を疑ってみる目が生まれます。


これを上位思考といいます。

上から事実を見るということです。


日々複雑な問題と対峙している管理職の方々が浅い思考では、

仕事を前に進めることができず堂々巡りになってしまいます。


そこで必要なのが「クリティカルシンキング」です。


批判的思考と訳されることが多いですが、

私は「本質追究思考」と訳した方がいいと思っています。


要は物事を深く追究して、その根本原因にたどり着く思考法です。

そのために週一回程度は立ち止まり、

自分の「ものの見方」を疑う思考をする必要があるのです。


皆さんの思考法はどうでしょうか。

「できなかったこと」ばかりに目がいっていませんか?

「できたこと」を深く考えずスルーしてしまっていませんか?


研修でのどのような思考法を身につけさせるかも

重要な研修デザインの1つなのです。


さあ!

『研修担当の皆さん!「できたこと」を疑わせ、より深く考えさせよう。』

 
 

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