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第29回 研修をどう現場の評価に結びつけるか

先日ある研修会社のコンサルタントや講師向けの講義の中で、


「研修がなぜやりっぱなしになるのか?」


という問いでディスカッションしてもらいました。


要はなぜ「行動に結びつかないのか?」です。


・動機付けが弱い

・実務に結びつかない

・レベルが合っていない

・上司の支援がない


などの意見が出た中で


・評価の対象になってないので優先度が低い


という意見がありました。

今回はこのことを書きたいと思います。


それは、

「研修の目的をどう現場の評価に結びつけるか?」

ということです。


企業では経営計画がありその目標を達成するために各部門の役割が定義されています。


その視点で企業にとっての従業員の存在意義は、

・目標を達成すること

です。


そして仕事の成果によって評価(査定)され、結果、半年に一回の賞与が決まります。

昇給・昇進にも関係するでしょう。


変化の激しい現代において、仕事の成果を出すために日々「成長」することは働く人すべての必要条件です。

働く人がいつも同じ仕事レベルを続けていては会社は成長できないどころか、存続すらできないのです。


問題は、その「自己成長」は各人に任せられている点です。


会社は従業員の成長そのものに関しては、給料を払いません。

ましてや「がんばっている」ことに関しては、まったく評価・査定の対象になりません。

(もちろん褒めたり感謝されたりはあるでしょうが)


あくまで各人が成長した結果、組織に貢献する業績を出したことに対して報酬を支払うのです。


このような背景の中で、研修がやりっぱなしになる理由として、


・評価の対象になってないので優先度が低い


という意見を見てみると、新たな視点が発見できます。


本当は評価の対象にならないのはおかしいことです。


なぜなら、仕事の成果を高めるために研修が行われているはずなので、学んだ事を活かすことで、業績が上がるはずだからです。


なのに、「優先度が低い」。


これはまさに

「研修は、自分の業績には関係せず、切り離れている」

ということに他なりません。


せっかく参加した研修での学びが活かされないことは研修コスト・時間の無駄遣いをしたことと同義です。


ではどうしたらいいのでしょうか。


それはズバリ!研修内で立てられる目標設定がポイントです。


「評価」とは組織の目標に対する貢献度の計測することですから、組織の目標につながる自分自身の目標を設定することが重要となります。


ただ目標設定自体が間違っていることが多いのです。

一番よくある間違いパターンは以下です。


ある若手営業マンAさんの例で話しましょう。

Aさんの思考回路はこうです。


*********


・組織の目標は年間20億円の売り上げをあげることです。

・私は営業3部に所属し、主力商品の関東エリアの販売担当です。

・今期は、5000万円の販売目標を与えられました。

・よって私の今期の目標は「主力商品を関東エリアで5000万円売る」です。


********


これは、単なる結果目標です。

行動につながる「行動目標」ではありません。


正しい思考プロセスとは、


5000万円売るためには、

・(問題抽出)何が問題かをすべてを洗い出し、

・(問題選定)どの問題を優先解決するべきか決め、

・(課題設定)解決のために取り組むことを決め、

・(成果設定)その取り組みの成果を明確にする。


というプロセスです。

これが、正しい「目標設定」です。

そしての思考プロセスは自分でやる必要があります。


上司や周りはアドバイス程度はすれど、答えは教えてくれませんし、教える必要もないと思います。

なぜならば、自分自身で考えて自分自身で導き出した目標のみが自分がコミットメントした目標だからです。


私はこれを、

「揺らぎのない目標」

と呼んでいます。


揺らぎのない目標だからこそ、継続的な行動に結びつくのです。

しかも、組織の目標達成につながっている目標ですから評価も含めた運用ができるのです。



どうでしょうか。


目標や行動計画が絵に描いた餅にならないよう、目標設定のプロセスを見直して、研修を成果を高めてもらえたらと思います。


さあ!

『研修担当の皆さん! 揺らぎのない目標を立てさせましょう』

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